「あれ?この人って、こんな人だったっけ?」
ふとした瞬間に、不意打ちのように訪れる、あの感覚。
たとえば、久しぶりに会った親戚の子どもが驚くほど成長していて、思わず「えっ」と声が出そうになる。
そんなとき、その子の親は「そうかしら?」ときょとんとしていたりする。
いい意味でも、悪い意味でも。
身体的なことでも、精神的なことでも。
毎日顔を合わせている相手だと、ごくわずかな変化にはなかなか気づかないし、実感もしにくい。
けれど、実はその“わずか”の積み重ねこそが、大きな変化を生み出しているのだ。
そして時には、それが「自分自身」に向けられることがある。
――「あれ?私ってこんなだったっけ?」と。
恥ずかしながら、そんなことに昨日、気づいた。
毎日、自分自身と向き合っているはずなのに、どうしてこんなにも、自分の変化には鈍感なのだろう。
不思議なことに、自分の“わずかな変化”は、自分がいちばん気づかないものだ。
人って、成長するんですねえ。
しかも、無意識のうちに、知らないうちに。
そんな文章を、友人であり先輩であるSくんにメールで送った。
すると、返ってきた返信のなかに、こんな一文があった。
「人って成長するんですねえ。しかも知らない無意識のレベルで。」
面白いですねえ。これってそっくり貴女に送りたいと思います。
――え!?!?
まさか、自分のことを想定して書いた文章が、まさかの“自分宛て”として返ってくるとは思ってもみなかった。
それはもう想定外の展開で、まるで禅問答。
ここで「私のどこが、どう成長してましたか?」なんて聞けるわけがない。
プライドが許さないじゃないですか。(どんなんだ)
……とまあ、それは冗談として。
そのメールの行間からは、Sくんのあたたかい肯定の気持ちと、応援のニュアンスがじんわりと伝わってきて、しみじみと味わった。
そして、ふと浮かんできたのが、この記事の冒頭の話だった。
「自分のことは、自分がいちばんよくわかっている」――そう思っていたけれど、
実は、自分こそがいちばん自分に気づいていないのかもしれない。
今なら、飛べる気がする。